project story
 
NTTデータ東海 × 公共インフラ分野

エリア内350拠点を結ぶ自治体ネットワークを、先端技術を検証しながら進化させていく

NTTデータ東海 × 公共インフラ分野

重大な障害が発生すると地方行政がストップし、社会が混乱しかねない自治体システム。NTTデータ東海はこのミッションクリティカルな自治体システムの構築と運用を得意とし、かねてから東海地方のさまざまな自治体のIT活用に大きく貢献してきました。ここで紹介するのは、大規模自治体(以下、X県庁)のITインフラ基盤の更改プロジェクトです。5年に1回のペースで行っている行政ネットワークの更改に、どのような課題をもって取り組んだのか見ていきましょう。

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NTTデータ東海は、X県庁をはじめ東海地方の多くの自治体と信頼関係を築き、ITサービスやインフラの整備を担ってきた。今回のX県庁向け更改プロジェクトでは、Web会議の普及をはじめとする通信量の増加によって、インターネット向け回線、及び拠点との接続回線が逼迫していることが主要な解決課題だった。そこでエリア内350拠点を結ぶネットワークの回線状況を安定させるために、数か年計画で検討している自治体ネットワークの再構築を見据えた対応を行い、主に各拠点に設置されている通信機器を更改した。
  • I.K.
    公共分野 開発担当 / 課長
    2004年入社

    入社してまずは自治体向け庶務事務システムのアプリケーション基盤構築を担う。その後、自治体のプライベートクラウド基盤構築やテレワーク業務基盤構築を経験し、現職の担当に配属。

  • R.I.
    公共分野 開発担当 / 課長代理
    2013年入社

    入社以来、自治体ネットワークやグループウェアシステムの更改及び運用保守を担当してきた。自治体職員の業務の根幹を支える役割を担っていることを深く認識している。

  • T.K.
    公共分野 開発担当 / 主任
    2021年入社

    2021年入社、4年目の若手社員。1年目からX県庁内に設置されたオフィスに勤務。主にベンダーとの調整やネットワーク機器の設定を担当し、複数の案件を同時併行して進めている。

※掲載内容は取材当時のものです(2024年10月)

[ #1 ]プロジェクトのミッション

行政を止めない最新のITインフラ導入を図る

  • I.K.

    NTTデータ東海は、数十年前からX県庁の情報システムの開発と運用を担ってきました。私自身、入社して20年になりますが、いくつかのプロジェクトを経て当担当に異動した時に、先任の先輩から引き継いだ庁内ITの内容は広範囲に及びました。現在は対応するシステムがさらに拡大し、X県庁内にある開発オフィスではNTTデータ東海の社員と協力会社スタッフを合わせて約30名が常駐しています。それだけX県庁の行政システム / ネットワークの開発・運用・保守、そしてヘルプデスク業務を通して、我々は深く入り込んでいるのです。

  • R.I.

    我々は複数の案件を併行して進めていますが、今回紹介するITインフラ更改(ネットワーク機器やサーバー及びその運用システムの刷新)は、5年ごとに行っています。X県庁の担当者とコミュニケーションを密に取りながら新たなIT活用ニーズや既存サービスの運用上の課題を把握し、先端ITインフラの導入を主導しているのです。

  • T.K.

    X県庁は本庁舎以外にエリア内に350もの拠点を展開しています。そのすべての拠点と本庁舎を結ぶネットワークには何よりも安定性が求められます。障害を発生させない、障害の発生によって行政サービスを止めないためにも、構成されるネットワークやシステムに関しては、極めて高い水準の信頼性・可用性が求められます。

  • I.K.

    その点で今回の更改プロジェクトには大きな課題がありました。コロナ禍以降もリモートワークが定着し、近年X県庁に導入されたWeb会議機能をはじめとするグループウェア製品の利用がますます盛んになり、回線が逼迫するという状況が生じていたのです。

[ #2 ]課題解決のポイント

新技術を自ら検証することで品質を確保

  • R.I.

    特に問題だったのは、過疎地域の拠点に敷設された回線の帯域が狭いことでした。Web会議など重いデータをやり取りする使用状況においては、通信を今まで以上に適切にコントロールしないと安定した通信環境の維持が難しくなってきたのです。

  • T.K.

    そこで我々は、各拠点から直接インターネット回線にアクセスする「ローカルブレイクアウト」の導入を検討しました。拠点からインターネットへ直接アクセスすることによりセキュリティレベルの低下について懸念されますが、そもそもクラウドベースのグループウェア製品はセキュリティ面での信頼度は高く、インターネット回線を経由してアクセスしても安全度は高いと判断したのです。

  • I.K.

    そして、このローカルブレイクアウトを実現するために必要になったのが、広域ネットワークのパフォーマンス管理と最適化を行うSD-WAN(ソフトウェア定義WAN)の導入でした。SD-WAN製品は多くのベンダーからリリースされており、それぞれに製品としての特徴があります。我々はX県庁のネットワーク使用状況や課題解消に合致する最適なプロダクトを選定する責務があります。そこでさまざまなベンダーのプロダクトをリサーチし、その後、ベンダーの営業担当者及びベンダーSE支援の下、検証作業を重ねて最適な製品をお客様と一緒に選定したのです。

[ #3 ]NTTデータ東海のValues

職員と一体となって課題解決を追求

  • I.K.

    先述の通り、製品の選定と導入においては、日本法人の営業担当とSEによるサポートが得られました。それでも細かい設定内容を伝え、十分なパフォーマンスを引き出すことができたのは、我々がX県庁のネットワークやシステムに精通していたからだと自負しています。

  • R.I.

    また、X県庁の情報システム部門の担当者と日頃から密に接し、要望や悩みごと、今後の展望等を収集し、最適解は何かと常々検討していたからこそ、適切な導入支援が可能になったといえるでしょう。

  • T.K.

    元々NTTデータグループは公共系システムに強く、全国各地の自治体システム導入において膨大な実績を蓄積しています。そこで培った知見や技術ノウハウを共有していることも強みです。また、X県庁内のオフィスに我々30名のチームが常駐していますが、人柄の良いメンバーばかりであり、協力し合う風土が定着していて、お客様の期待に応えるパフォーマンスを発揮していることも大きいと考えています。

[ #4 ]成果とやりがい

最先端の行政を歩む地元自治体に大きく貢献

  • I.K.

    我々が担う本プロジェクトは、そのスケールの大きさや技術レベルの高さにおいて、自治体システムの中でも特にやりがいに満ちています。何よりも顧客であるA自治体の担当者から信頼を獲得し、プライム(元請け)SIerの立場で最上流工程から参画していることが、モチベーションを高めています。自分たちの意見や提案が新システムに反映され、それが実際に稼働すると「業務効率が上がった」「新しい行政サービスが可能になった」といったような感謝の言葉も届きますから、次はもっと頑張ろうという気持ちが自然に芽生えます。

  • T.K.

    もちろん、行政サービスの向上に寄与していることも感じられます。出身地の社会に貢献しているという実感は、仕事に一層前向きに取り組もうという気持ちを高めてくれます。

  • R.I.

    我々が構築から運用まで任されているX県庁のインフラの技術水準は他自治体と比較して先進性があり、他県からの問い合わせや、参考のためのヒアリングの依頼が届きます。国内最先端の自治体ネットワークを提供できていることを実感しています。

[ #5 ]展望

DX推進やゼロトラストネットワークなど、すでに次の更改に着手

  • I.K.

    今後ますますX県庁に寄り添い、地域行政を進化させることができるITの提案と提供に惜しみなく注力していきたいと考えています。DX推進は、今後の主要テーマです。行政業務のデジタル化により、今までになかった便利で魅力的な行政サービスの実現にも数多く取り組んでいく考えです。他にも、クラウドシフトの推進やAI活用を進めたいですね。総務省の方針でもあるゼロトラストネットワークなど、より安心・安全なネットワーク環境の構築に向けてのセキュリティ施策も重要なミッションであると捉えています。次回の更改についてはすでに構想段階に入っていますが、中身を大きく進化させていくことは言うまでもありません。大きなやりがいを感じているからこそ、手を休めたいとは誰も思ってはいないのです。